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このページでは、ADHD(注意欠如多動性障害)について説明していきます。

注意欠如多動性障害(ADHD)は、不注意・衝動性・多動性を主な特徴とする、発達障害の概念のひとつです。

診断を受ける方は子供の約5%、成人の約2.5%といわれています。

特徴について、それぞれ具体的にどのようなものなのかを記していきます。

不注意

 

・細かいことに注意がいかず、やるべきことでもずさんになる

 

・長い会議に参加することや長文を読むことなど、集中を持続させることが難しい

 

・会話中や会議中など、注意がそれていない時でもどこか上の空に見えてしまう

 

・仕事を始めてもすぐに集中を失い、別なことをはじめてしまう

 

・連続する作業を集中を持続させやり遂げることが難しい

 

・課題や活動を筋道立てて行うことが困難

 

・課題や活動に必要なものをよく無くしてしまう、忘れてしまう

 

・外からの刺激で気が散りやすく、無関係な考えが次々と浮かぶ

 

・やるべきことがあるのに別なことを思いつくと、本来やるべきことを忘れてしまう

 

 

など、基本的には

 

注意が揺らいでしまうこと、注意を向けることが困難な状態

 

が特徴です。

結果、物事の段取りが悪かったり片付けが苦手であったりなどの有名な状態へ結びつくことがあります。

 

時に「無責任だ。」「だらしがない。」などと誤解されることもあります。

 

 

 

衝動性

 

 

・何かを思いつくと、人が話している最中でもさえぎるように発言してしまう

 

・話すことに夢中になり、聞くことを忘れ一方的に話し続けてしまう

 

・他人のものを無断で使用してしまう

 

・無理な追い越しなど危険な運転をしてしまう

 

・カッとなりつい感情的になってしまう

 

・感情的になった際、短絡的な行動にでてしまいがちである

 

 

など、基本的には

 

刺激に反応しやすく、ついつい考える前に行動してしまう状態

 

が特徴です。

 

 

 

多動性

 

 

・そわそわと手足を動かしたり、貧乏ゆすりを続けたりする

 

・座っていなければならない場面などで、つい自分の席を離れてしまう

 

・レストランやミーティングで長時間じっとしていることができない

 

・落ち着きのない人、じっとしていられない人とみられることがある

 

・行列や順番待ち、渋滞などが苦手

 

・多弁

 

・ひとつの場所にとどまることが出来ず、転居や転職を繰り返してしまう

 

 

 

など、基本的には

 

落ち着きがなく、一つの場所でじっとしているのが難しい状態

 

が特徴です。

 

ただ多動性は多かれ少なかれ子供の頃は誰でもあり、成長するにつれ症状の程度は改善されるものだが、残存する場合が問題となります。

 

 

ADHDの方でも年齢を重ねるにつれ場の雰囲気などから好ましくない行為ということを学習し、自らの行動を規制する能力が身につくことが多いです。

 

 

 

 

上に挙げたような行動やふるまいは、程度の差こそあれ誰もが思い当たることがあるはずですが、多くは日常的な問題となることは少ないです。

また、見方によっては「本人の努力不足」などと誤解されがちであるのがご本人の「生きづらさ」に結びつくと考えられます。

職場や家庭などの生活に大きく支障を来している場合は、ADHDの症状である可能性が高いのではないかと考えられます。

 

 

 

続いて、ADHDの状態や原因について、現在の医学で解明されてい部分について説明します。

 

人間の身体が成長していくのに伴って、脳も発達していきますが、脳の機能の発達・成熟に偏りが生じた結果、ADHD症状が現れると考えられています。

 

 

脳の中でも前頭前野や線条体といわれる部分の機能が低下していると考えられています。

ADHDの症状自体について考えると、

神経伝達物質の1つであるドパミンやノルアドレナリンが不足し、神経伝達に異常が起こっているためと考えられており、

これらが不足することで、

 

 

「物事に優先順位をつけ順序だてて行う、経験や知識に基づいて選択・判断する」

 

といった

 

「実行機能や遂行機能」

 

が低下したり、

 

「様々なことを同時進行で考え、行っていく」

 

といったスペースとしての

 

「ワーキングメモリ」

 

の障害や、

 

 

「締め切りや期限などに合わせ段取りをとる」

 

といった時間感覚としての

 

「時間処理」

 

の障害、

 

 

「長期的に考え利益になることを見極め、待つ」

 

などといった、

 

「報酬系」

 

と呼ばれる機能が低下するといわれています。

 

 

そこで現在の医療では、主に神経伝達物質の機能を調整することで

ADHDの症状を少しでも緩和しようと薬物療法が行われております。

普段の生活では耳慣れない実行機能や遂行機能という言葉が出てきたため、解説を掲載しておきます。

実行機能

何をどのように実行するかというものではなく、いつ・どれを実行するかという判断力。

遂行機能

ある目標を達させるため計画的に段取りを行っていくための機能。視覚・嗅覚・聴覚などの様々な刺激からの情報と、過去に学んだ経験や知識を照らし合わせながら行動する際はこの機能を使っている。目標志向行動を計画・開始・維持するための包括的な脳機能ともいえ、非常に重要で高度なもの。

もちろん環境の調整や生活の工夫などによっても生活の困り具合が変わってくるため、当院ではそれら生活の工夫点を含めた心理社会的治療に加え必要に応じた薬物療法を組み合わせ診療を行なっております。

どうぞお気軽にご相談ください。

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