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このページでは、認知症の中でも代表的なものであるアルツハイマー型認知症について説明していきます。

物忘れから始まって、終末期に至るまで約10年といわれる進行性の神経変性疾患です。

認知症の軽度、中等度、高度、終末期と病期を明確に判断することは難しい場合が多いのですが、薬物療法や生活療法、環境、ケア、リハビリなど、それぞれの時期に合わせた対応が重要となります。

アルツハイマー型認知症(AD)は、完治が難しいのが現状ですが、まだ低下していない機能をできるだけ長く維持することを中心に、認知症の人のQOLを低下させないようにしながら、介護者も生き生きとした生活を送ることができるように治療を進めていくことが重要です。

「①薬物療法」では、疾患そのものや損傷を受けた脳を修復することはできませんが、抗認知症薬の服用により認知症の進行抑制や症状の軽減が期待されます。

 

さらに、

「②非薬物療法」では、脳を活性化させる活動や訓練、理学療法などのリハビリテーションなどに楽しみながら取り組むことで、脳の機能の維持や向上に役立ちます。

 

また、

「③介護」では、認知症の人が安心して安全に暮らせる環境づくりを心掛けることが基本であり、具体的な介助の他、認知症の人の気持ちを理解し、精神的に支えていくことも重要です。

 

 

治療の効果を上げるためには、これら3方面からのアプローチが必要になります。

 

 

病気の進行に個人差が大きい認知症では、実臨床で評価スケールを使って薬剤の効果判定を行うことは難しいのが現状です。

 

ただし、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)などを使って点数が変化していないことを示し、認知症が進行していないことを説明することは可能です。

 

評価スケールの点数よりも日常生活上の機能が保たれていることに意味がありますので、点数が悪化していてもそれだけで判断しないことが重要です。

抗認知症薬による治療を開始すると、認知症の人には趣味をまた行うようになったり、以前よりイライラしなくなったり、集中力が戻ったりするなどの変化が期待できます。

 

 

抗認知症薬による治療を開始してから6ヵ月以上経過しても、以前より悪化したようであったり、イライラしていたり、やる気がなくいつも寝てばかりいたり、会話の内容が理解できないような症状が続いているようであれば、治療薬の変更を検討することが必要です。

認知症の人は、かつては何も分からない、何も感じない人であるかのようにみなされていたことがありましたが、内部には深刻な不安を抱えていたり、自信を失ったりしていることが多く、そのために感情的に不安定になりやすいことをご家族にも理解してもらうことが重要です。

認知症の症状の特徴や認知症の人の気持ちを理解し、認知症の人が安心できるように接することで周辺症状であるBPSDは軽減・消失させることができます。

また、認知症の人は、主介護者として最も懸命に介護している人に対してつらくあたることが多く、反対に第三者やたまに顔を合わせる人には驚くほど愛想よくふるまうことがあります。

そして、認知症は一度にすべての機能を失ってしまうわけではないため、症状の現れ方もできる時やできない時があってまだらなため、介護者を戸惑わせることがあります。

何よりも忘れてはいけないのは、記憶や理解はできなくても、認知症の人にはきちんと人としての「感情」が残っているということです。普通の人が言われて嫌なことや、恥ずかしいことは認知症の人にとっても同じです。

​当院では認知症の特性を踏まえ、ご本人を尊重した対応を行いながら中核症状・周辺症状への診療を行なっております。どうぞお気軽にご相談ください。

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